『おそろし』三島屋変調百物語事始 宮部みゆき

  • 2008.09.12 Friday
  • 23:10
評価:
宮部 みゆき
角川グループパブリッシング
¥ 1,785
(2008-07-30)




宮部みゆきさんお得意の「お江戸」もの。
タイトルを見て分かるとおり、ちょっと怖いお話です。

宮部さんの「お江戸もの」は以前も何作品か呼んでますが、
宮部さんの真骨頂って感じがします。実に上手いです。
まるで「お江戸」に住んだことがあるみたい。(笑)



17歳のおちかは、実家で起きたある事件をきっかけに、
ぴたりと他人に心を閉ざしてしまった。
ふさぎ込む日々を、江戸で三島屋という店を構える叔父夫婦の元に身を寄せ、
慣れないながら黙々と働くことでやり過ごしている。
そんなある日、叔父伊兵衛はおちかを呼ぶと、
これから訪ねてくるという客の対応を任せて出かけてしまう。
おそるおそる客と会ったおちかは、次第にその話に引き込まれていく。
いつしか次々に訪れる人々の話は、おちかの心を少しずつ溶かし始めて―――。



死んでしまえばいいと島流しから帰った兄を恨み続けた「曼珠沙華」
人の心を飲み込み、果ては人の心に巣くう「凶宅」
道ならぬ恋に墜ちた姉弟の物語「邪恋」
鏡に思いを宿し、覗いた嫁の身に入れ替わる「魔鏡」
「凶宅」に魂を乗っ取られた(おたか)を救うためにおちかが乗り込む最終話「家鳴り」
その5話が進む中でおちか自信の身の上話も語られている。


語られる話は怪談話なのですが、
悲しく切ない物語ばかり。
怖いけどジーンと心にしみる。

やっぱり宮部みゆきさんですねぇ。
微妙な人の心の動きを表現する言葉が上手い!



例えば、
「あたしの気持ち、本当はどっちにあったんだろう」
 古い行李を開けてみたら、そこに入れた覚えのない、でも確かに自分のものに違いない懐かしい玩具が、ぽつりと底にしまい込まれていた。見つけた途端にわかった。ああ、これは大事なものだったのだ。いつの間にか忘れていたけれど、でも大事なものだった。これが大事だということを考えてさえみなかったけれど。


これはほんの一旦ですが、作品の随所に「分かるなぁ」っていう感情の表現が出てきます。
なかなか言葉として表現しがたい心や感情の表現。
それが、宮部さんの文章では「すとん」と心に入ってきます。
読みながら思わず「上手いなぁ」と思っちゃいました。



怖いけど泣けてしまうような哀愁のある変調百物語事始。

一読の価値ありです。
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