評価:
宮部 みゆき
文藝春秋
¥ 680
(2007-12-06)
コメント:特に大事件がストーリーになっているわけではないけど、文章の素描のうまさに引き込まれます。スリル感はちょっと足りないけど文句なしに面白いです。



JUGEMテーマ:読書


【ストーリー】
今多コンツェルン広報室の一員、会長の娘婿の杉村三郎は、
自転車にひかれて事故死した会長専属の運転手・梶田信夫の娘たちの相談を受ける。
亡き父の生涯について本を書き、未だに見つからない犯人の情に訴えたい。
そんな姉妹の思いにほだされ、一見普通人の梶田の人生をたどり始めた。

だが、杉村が個々に姉妹に会ってみると、妹は本の出版に積極的だが、
なぜか姉のほうは出版を辞めさせたいようだった。
姉には、小さい頃に誘拐された恐い記憶があるという。
父の過去を掘り起こすことで、とんでもない姿が浮かび上がるのを恐れていた。
年の離れた妹にはそれを知られたくないと明かす。

その誘拐の記憶は正しいものなのか。
梶田は暗い過去を持つ人物なのか。
そして調査が進むうちに、事態は思わぬ隠れた秘密を暴いてしまう・・・。



「パーフェクト・ブルー」、「スナーク狩り」、
そしてこの「誰か」と、3作品を続けて読んだわけですが、
「誰か」は「スナーク狩り」の11年後に書かれた作品。
読みやすさ、素描の素晴らしさはますますアップしていました。

登場人物も、あれこれと説明的なものは何もないけれど、
「ああ、こういう人柄なんだな」とたやすく想像できる。
妙に謎をひっかけることもなく、主人公が知ったものを読者も知っていく。
影で起こっている出来事を付け加えたりしていない。
だから自然と杉村三郎の立場になって読み進んでいく。
この辺の書き方は秀逸で宮部みゆきさんならではです。

スリルや緊迫感のあるストーリーではないけど、
上手い文章に載せられてどんどん読み進んでしまいます。
面白い作品でした。

スリル感を求める人にはちょっとだけ物足りないかも、
と言うことで☆4つにしました。

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